第4 間接事実の認定
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1 基本的な留意点
(1)自分が作った間接事実のすべての部分を,証拠から認定する必要がある。 (2)犯人と被告人の同一性の認定は,図で描いたとおり,犯人から被告人までを線でつなぐ作業である。そして,犯人から被告人にたどり着くまでには,複雑な線を通ることが多い。そこで,その線ごとに,項目を分けて,論じる。
(3)基本の大きな分け方は,犯人側の事実と被告人側の事実で項目を分ける,というもの。ほぼすべての間接事実に妥当するので,基本的に,これに従う。
(4)犯人側の事実,被告人側の事実の中でも,何段階かの線を経てつながることが多い。その場合は,その線ごとに項目を分けること。
(5)各項目の中では,①テーマを示し,②証拠から事実を認定し,③認定した事実を評価し,何らかの推認をし,④テーマとなる事実を認定する,という段階を踏むとよい。
(6)その際,証拠からダイレクトに認定できる事実と,別の事実から推認過程を経て認定できる事実を区別するべき。
間接事実の認定に必要な力は,二つ。
code:必要な力
ⅰ 間接事実の全体像を描くこと。=間接事実の認定の項目分け
ⅱ 個々の認定を緻密に行うこと。=ひとつの項目内部の記載方法
2 項目の分け方(上の図を参照)
code:分け方
ⅰ まず,犯人側と被告人側で分ける。
ⅱ 次に,犯人側,被告人側で,それぞれ分ける。
上の図なら,こんな感じの構成になる。
code:構成例
1 凶器への指紋の付着について
(1)本件包丁が凶器であることについて
次の三つの事実から,本件包丁が凶器であることが認定できる。
ア 遺留場所
イ 血痕の付着
ウ 被害者の創傷との整合
(2)本件包丁への被告人の指紋の付着
ア 被告人の指紋の採取
イ 被告人の指紋と本件包丁に付着していた指紋の合致
項目を上手に分けることができれば,それだけで,間接事実の認定の5割以上は成功している。項目の分け方はかなりのポイントなので,練習することが望ましい。
3 ひとつの項目内の認定方法
(1)証拠からダイレクトに認定できる事実と推認過程を経て認定できる事実
証拠からダイレクトに認定できる事実と,別の事実から推認過程を経てはじめて認定できる事実を区別する必要がある。
包丁が現場に遺留されていたこと,包丁に何らかの指紋が付着していたことは,証拠からダイレクトに認定できる。しかし,その包丁が凶器であること,包丁に付着していた指紋が被告人の指紋であることは,いくつかの事実を材料に,それらを推認することで認定できる事実である。
推認過程を経る場合は,きちんと,「小さな認定」を論述する。
(2)小さい認定の論述順序
code:順序
ⅰ 今から何を認定しようとしているのか,テーマを示す。
(本件包丁が凶器であることについて,など)
ⅱ 証拠からダイレクトに認定できる事実を認定する。材料を集めておく。
ⅲ 事実を評価する。いくつかの事実を合わせて,推認する。
ⅳ テーマについて,認定する。
(3)XとYが同一であることを認定する順序
犯人と被告人の同一性起案では,犯人から被告人への線をつなぐために,XとYが同一であることを認定する場面が多い。(例えば,包丁に付着した指紋と被告人の指紋が同一であることを示す,など。)
そのときの基本的な論述は,以下の通り。
code:基本的な論述
ⅰ Xの特徴を認定する。
ⅱ Yの特徴を認定する。
ⅲ Xの特徴とYの特徴が,いかなる点で共通しているかにつき,評価する。
ⅳ 結論として,X=Yを認定する。
4 間接事実認定の練習(
上松健太郎.icon ※pdfファイルはここで途切れています。当時の上松健太郎.iconは、この続きを書こうとしていたのかもしれません。